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?V 事例研究:海外

 

第5章 イギリスにおける市民セクター活動

 

武藤博己

 

1. はじめに−イギリスにおける市民セクター

 

イギリスにおける市民セクターの全体像を捉えることは極めて困難である。その理由としては、歴史・伝統のあること、したがって経験が豊富であること、その結果として活動が幅広くその主体が多様であること、そして市民セクターに属する団体が複雑なネットワークを形成していることなどがあげられる。このような意味での多様性・複雑性は世界で最高のレベルにあると考えてよいだろう1)。
ここでいう市民セクターとは、イギリスでは「ボランタリー・セクター」(VoluntarySector)と呼ばれているものを指している。ボランタリーとは強制の対極にある自発性(あるいは任意性)を主たる要素としており、「ボランタリー・オーガニゼーション」(voluntary Organisation)とはそうして形成された組織(あるいは団体)を指している。したがって、ボランタリー・セクターとはこうしたボランタリー・オーガニゼーションを中心とする領域、あるいはその活動の分野などを意味している。
このような組織・団体がどのくらい存在するのかについては、正確なデータはないようだが、正確な定義が存在しないことがその主たる原因である。その意味では、定義の仕方によって、17万から130万の間であるという。狭い意味でのボランタリー・オーガニゼーションとしては、次のようなデータがある。

 

表1 狭い意味でのボランタリー・オーガニゼーション2)

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